引き際を決めるのは、難しい。どんな物事にも終わりはあるのだが、どこで見切りを付けるのかは、それぞれの事情や理由によって変わってくる。仕事の終わり、人間関係の終わり、そして人生の終わり。よく考えれば、生きている限り、分岐の…
「人となり」とは、人の性格や人間性という意味だが、たとえ何回もメールや電話でやり取りしていても、実際に会ってみると、想像していた人物像と違うということは、よくある。「本当の人となりは、顔を合せない限りわからない」と、私は…
「今時、催事も展示会も開かない店なんて、ほとんど聞いたことがありません。」 うちに来る取引先の社員は、いつも感心したように、そして半ば呆れたように話す。 裏を返せば、「よくそれで、商いが成り立っていますね」と、揶揄され…
十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。十二支は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・羊・申・酉・戌・亥。ご存じのように、暦の表記はこの二つを組み合わせた干支(えと)だが、これは時間や方角、角度等にも用いられている。起源…
9月の別名は、長月。何故に長い月なのかは、秋が深まって日が短くなり、夜が長くなるからとされる。けれども、今はまだ日が短いという実感はなく、朝も早く明ける。 それもそのはずで、長月とは旧暦の9月を指しており、現在の暦とはお…
日本人の細やかな感性は、春夏秋冬にうつろう豊かな風土が背景にあるからこそ、育まれてきたと言われている。変わりゆく自然の姿は、人々の日々の暮らしの中に溶け込み、豊かな彩りを映す。そして、月ごと季節ごとには、伝統に育まれた「…
「先を見越す」とは、現状において、将来起こりうることを予測した上で、事を為していくことを意味するが、和装においては、この「先見性」こそがとても大切なキーワードであり、携わる者にとっては、まさに仕事の要に当たると言っても、…
「神の存在や宗教の教えより、教会という場の方がはるかに、意味深い救いを人に与える場合がある。」 これは先日、朝日新聞の朝刊コラム・折々のことばで紹介されていた写真家・志賀理江子の言葉の一節だが、選者である哲学者の鷲田清一…
我が家は、夫婦二人きりの生活となって久しいが、夕餉のかたずけを共同で行うことが、暗黙のルールになっている。私が食卓を片付け、家内が洗う。私には、使った食器を洗い、そのまま乾燥機に入れるという作業が、どうしてもスムーズに出…
皆様は家でくつろいでいる時、どんな格好をしているだろうか。一緒にいるのは妻や子どもなのだから、特段気を遣う必要は何もない。それでも親しき仲の礼儀として、見ていて「目を背けるような姿」は厳に慎むべきであろう。だから夏とはい…