「体裁を整える」とは、外見を気にするとか、見映えを良くするという意味だが、呉服屋における体裁とは何かを考えた時、それはお客様への品物の見せ方や、誂えた品物の納め方に対する気遣いに当たるように思う。清潔で居心地の良い店舗は…
日光東照宮の表門をくぐると、すぐ左側に見えるのが、神厩舎(神に仕える馬をつなぐ小屋)で、この長押(なげし・柱の繋ぎ目)には、十六匹の猿の彫モノが施してある。その中には、両手で目・口・耳を塞いでいる猿が見えるが、これが良く…
このところ、新聞の一面はコロナか五輪に限られているが、オリンピック開幕直後は、トップで金メダルを獲得した各種目の記事を載せ、下段にコロナ関連の情報が書かれていた。ところが、先週からの感染急拡大を受けて、トップにコロナ、下…
工業製品とは、製造設備や体制を増やすことで、生産量を簡単にコントロール出来て、同じモノを容易に再生産出来る製品のこと。工芸製品とは、手仕事の作業で作るために、熟練した腕を持つ職人を増やさない限り生産数は増えず、同じモノの…
童謡・通りゃんせは、明治の作曲家・本居長世が手掛けたとされるが、歌詞の方は、すでに江戸時代に出来ていたらしい。そんな詞の一節に、「この子の七つのお祝いに、お札を納めに参ります」とある。子どもが七歳まで健やかに育ったことを…
モノの作り手を川上、消費者を川下と言うように、流通は川の流れに例えられる。そして、我々のような小売屋や問屋は、中間業者ということで川中の名前が付いている。どんな製品にも言えることだろうが、消費者には、モノを作る現場から店…
初めて本格的な恋愛小説を読んだのは、確か高校2年の時だった。作品は、武者小路実篤の「友情」と「愛と死」。何故、この作品を手にしたのだろうか。今となっては全く覚えていないが、実篤がこの年(1976年)の春に亡くなっているの…
ドイツの国歌は「ドイツの歌(Dentschandlied)」。歌詞冒頭のフレーズから、「世界に冠たるドイツ」とも呼ばれている。ワールドカップやオリンピックの表彰式で度々流れるので、この歌の旋律には聞き覚えのある方も多いだ…
バックパッカーだった頃は、何の計画も持たずに、いつもふらりと旅に出た。だいたい行く場所は決めてあるものの、それも途中で怪しくなる。その時の気分で行程は変わり、もちろん泊まる場所は決まっていない。常に寝袋を持っているので、…
店を構えていると、毎日様々なお客様と巡り合う。そして、店の暖簾をくぐる方々も、様々な思いを持ちながら、入ってくる。 偶然通りかかり、ウインドの品物に惹かれて、何気なく店に入る方。気にはなっていたものの、敷居が高い店と感じ…