たまに頂く読者からのメールで、「よく話のネタが尽きませんね」と感心されることがあるが、実はブログのテーマは、二か月先くらいまでほぼ決まっている。今は月に4回の更新で、そのうち一度は必ず、季節に相応しい品物を選んでコーディ…
「おまえ百まで、わしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで」とは、能・高砂に出てくる老夫婦に因んで作られた謡曲の一節で、夫婦が仲良く、長く連れ添うことを願う意味で使われる故事として、よく知られている。そして、この能の中では「…
0~9まである数字には、縁起の良いものと悪いものがあると、誰もが認識している。例えば、ラッキーナンバーとされている7だが、これが良い数字として定着した根底には、キリスト教において、7が完成を意味する数として理解されている…
和装にとって江戸という時代は、画期的であり、またある意味では、革新に満ち溢れた時代だったように思える。例えば、桃山期から江戸初期に使用した帯は、幅の細い平絎(ひらぐ)帯や細い紐状のモノを巻き、結び垂らしていただけだったが…
バイク呉服屋への仕事依頼のほとんどは、まずメールから始まる。それはいつも突然のことであり、その多くは、店が位置する山梨県以外に在住されている方からだ。都内を含めた関東圏からがほとんどだが、仙台や名古屋、大阪や兵庫など遠方…
一応、呉服屋の息子として生まれ育ったので、子どもの頃、店がどのような雰囲気だったのか、何となく覚えがある。もちろん、何をどのように売っているのかは、小学生の私に理解できるはずも無かったが、「きれいな布を扱っていること」だ…
霜月も終わりに近づき、すっかり日暮れが早くなった。このところ、午後3時を過ぎれば日は傾き始め、4時半にはもう暗くなる。日の長い6月だと、7時を過ぎても明るさが残るので、今と昼の長さは2時間半も差がある。日暮れに追い立てら…
人それぞれには好む色があり、それによって行動や心のあり様が判る。色彩心理学とは、色を使って人間の心を研究する学問。色は各々に特徴があり、そこには様々な意味合いを含んでいる。だから色からは、性格や特質を知ることが出来るとい…
道の辺の 壱師の花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋妻は(万葉集巻11・2480) 道の傍らで目立っている壱師の花(彼岸花)のように、私の恋しい妻のことを、皆に知られてしまった。これは、万葉集第一の歌人・柿本人麻呂が詠ん…
きちんと映画館へ足を運んで、上映されている作品を見たのはいつのことだったか。その時何を見たのかも覚えていないので、相当以前のことに違いない。娯楽の少ない昭和の時代は、話題作は封切りを待ちかねて、多くの人が映画館に駆け付け…