よい文章とは、「むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く」書いてあること。数日前、朝日新聞の「折々のことば」で紹介されていた作家・井上ひさしの言葉である。 確かに、判り難い事柄が平易な言葉で語られ、…
今週末は、今年最後の三連休。クリスマス・イブも重なり、イルミネーションの輝きの中で、さぞ都会の街は賑わっていることだろう。23日が天皇誕生日となるのも、これが最後。来年からは、皇太子・徳仁親王殿下の誕生日・2月23日が新…
「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」。これは、江戸中期の享保から宝暦年間に活躍した、滝瓢水(たきひょうすい)の句である。自分の友人が、置屋から遊女を足抜け(助け出すこと)させようとしたのを見て、それをたしなめて詠んだと…
1871(明治4)年、明治新政府は、藩に代わる新たな地方の区割を決める。いわゆる「廃藩置県」である。最初は、3府72県に分けられたが、分割と併合を繰り返し、1都1道2府43県・47都道府県と現在の形に定まったのは、189…
大概男の子は、中学生くらいになると親が疎ましくなる。日常の会話と言えば、「メシ・風呂・カネ」くらいのもので、自分の話をすることはほとんどない。やはり私もこの例に洩れず、高校生あたりからは、親との会話がほぼ途絶えた。 今考…
京都駅から西陣へ行くには、市営地下鉄・烏丸線の国際会館行に乗り、五つ目の駅・今出川で降りる。そこから、今出川通を西に向かって歩き、堀川通を越えて、大宮通を北へ上がる。京都の地名には、上ル、下ル、入ルが並ぶが、これは東西南…
先日のニュースで初めて知ったのだが、近頃の婚活には、DNA鑑定を使うらしい。本来この検査は、血族関係を証明する時や、犯罪捜査等で人を特定するために使うもの。 DNAとは、デオキシリボ核酸という物質で、遺伝子の中核を成すも…
先日、実家で飼っていた犬が亡くなった。年齢は20歳近かったので、大往生である。元気な頃は、外の小屋に繋いでおいたのだが、ここ一年ほどは衰弱が激しく、冷暖房完備の室内に入れていた。食べ物も栄養価の高いものを与え、具合が悪く…
ここ数年、市街地に様々な動物が出没するようになった。猪や鹿、猿が道路を我が物顔で歩く姿も、よく報道される。人を恐れなくなったのか、それとも山に餌が減ったのか、原因は幾つも考えられる。長い間、人間と獣はそれぞれ生活のテリト…
近代の日本において、ドラスティックに国の形態が変わる契機となったのが、明治維新と太平洋戦争。そのどちらもが、国内からの変革ではなく、鎖国体制下での欧米列強進出の是非を巡ること、あるいは、大東亜共栄圏の確立という大義名文を…