紋を入れる時には、まず紋型紙を作らなければならない。上絵や、染め抜き紋の場合、紋の輪郭を彫った型紙を生地に刷り込み、細部は筆を使って丁寧に入れていく。美しい紋姿にするには、正確な型紙の出来と、繊細な文様を描く技術力が必要…
バイク呉服屋は時折、ひとりでふらりと旅に出る。大抵、人知れぬ山奥の温泉や、誰も来ない小さな沼や湖の畔で、数日を過ごす。一応携帯は持っては行くが、掛かってきた電話に出ることはほぼない。家内には、居場所を告げて出掛けるが、よ…
仕事を終え、東京へ帰ろうと、京都駅の新幹線ホームに立っていると、ひっきりなしに上り列車が到着する。席が埋まっていたので、乗らずに一本見送っても、10分も待てば次の列車が来る。京都は、のぞみ、ひかり、こだまと全ての列車が止…
今、京都では、なかなか宿が取れない。特に、桜の花が咲き誇るこの季節は、なお難しい。大幅に増えた海外からの旅行者に、古都の春を満喫しようとする日本人が加わり、市内は大混雑している。出張の時にいつも使う、四条烏丸近辺のビジネ…
「西陣の手織機は、三代続くのが、難しいとも言われている。つまり、手機は工芸のたぐいだからであろう。親がすぐれた職工、いわば技芸の腕があったとしても、それは子どもに伝わるとは限らない。息子が親の芸のおかげで、怠けるのではな…
春分前後は、昼と夜の時間がほぼ同じになる。このところ、夜が明ける時刻は、5時半頃で、日暮れは18時。春が進むにつれて、昼間の時間が長くなっていく。 春分は、季節の移りを表す指針・二十四節気の一つだが、節気をさらに5日ずつ…
昨年くらいから、小学校の卒業式に袴姿で参列することが、流行っているようだ。このことに対しては、ネットの中でも、賛否様々な意見が出ている。 ほとんどの中学や高校には、制服があるので、卒業式の衣装を自由に選べるとなると、小学…
不思議なもので、三人の娘を同じように育てたつもりでも、性格も考え方も違う。 長女は、他人に流されず、はっきりとした性格で、たまに相手に向かって「毒を吐くようなこと」もあるが、一番親思い。次女は、生真面目で堅実な努力家だが…
諸外国に比べ、日本の労働時間は長い。高度経済成長の時代から、半世紀近くこの問題が叫ばれているにも関わらず、一向に解決しない。 つい先頃も、電通の新入女子社員が、過度な残業を命じられた挙句、過労のため自殺してしまうという、…
伊丹十三監督の作品は、どれも個性的だ。未亡人が、夫のラーメン店を再建する姿を描いた「たんぽぽ」や、女性査察官が脱税者を摘発する「マルサの女」。また、幼馴染が経営するスーパーを再建する主婦が主人公の「スーパーの女」、余命を…