キモノが嫁入り道具として欠かせなかったのは、遅くとも80年代が終わる頃まで。時代が平成に入ると、結婚の形式もしきたりも多様化し、それまで当たり前になされていたことが、端から消えていった。 仲人の喪失に象徴される式の多様化…
引き際を決めるのは、難しい。どんな物事にも終わりはあるのだが、どこで見切りを付けるのかは、それぞれの事情や理由によって変わってくる。仕事の終わり、人間関係の終わり、そして人生の終わり。よく考えれば、生きている限り、分岐の…
「人となり」とは、人の性格や人間性という意味だが、たとえ何回もメールや電話でやり取りしていても、実際に会ってみると、想像していた人物像と違うということは、よくある。「本当の人となりは、顔を合せない限りわからない」と、私は…
「今時、催事も展示会も開かない店なんて、ほとんど聞いたことがありません。」 うちに来る取引先の社員は、いつも感心したように、そして半ば呆れたように話す。 裏を返せば、「よくそれで、商いが成り立っていますね」と、揶揄され…
十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。十二支は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・羊・申・酉・戌・亥。ご存じのように、暦の表記はこの二つを組み合わせた干支(えと)だが、これは時間や方角、角度等にも用いられている。起源…
どの国にも国歌と国旗があるが、国花や国鳥、そして中には国樹や国獣までをも定めている国がある。植物や動物において、何を象徴としているのかを見れば、その国の歴史や風土が判る。それこそ「お国柄」というものだろう。 日本は公的に…
よくお土産として、携帯ストラップやキーホルダーを貰うことがあるが、使っているうちに自然に外れたり壊れたりして、どれもそれほど長い間持つことはない。けれども、私のスマホストラップは、もう12年も同じものが付いている。ネジや…
9月の別名は、長月。何故に長い月なのかは、秋が深まって日が短くなり、夜が長くなるからとされる。けれども、今はまだ日が短いという実感はなく、朝も早く明ける。 それもそのはずで、長月とは旧暦の9月を指しており、現在の暦とはお…
日本人の細やかな感性は、春夏秋冬にうつろう豊かな風土が背景にあるからこそ、育まれてきたと言われている。変わりゆく自然の姿は、人々の日々の暮らしの中に溶け込み、豊かな彩りを映す。そして、月ごと季節ごとには、伝統に育まれた「…
「先を見越す」とは、現状において、将来起こりうることを予測した上で、事を為していくことを意味するが、和装においては、この「先見性」こそがとても大切なキーワードであり、携わる者にとっては、まさに仕事の要に当たると言っても、…