フェードアウトとは、徐々に音が消えていって曲を終える音楽上の演出。聞き手にすれば、音が自然に遠ざかり、気が付いたら何となく終わっていた印象を受ける。曲の終わりを明確にしないことは、聞く者に余韻が残り、後々までその曲に浸っ…
「咳を しても 一人」。これは、漂泊の俳人・尾崎放哉の有名な自由律俳句。肋膜を病んで死の淵にあった放哉が、その最期の日々を過ごした小豆島の小さな寺・西光寺の庵で詠んだ句である。五七五の定型に捉われず、心の内を直接表現する…
政令指定都市とは、1956(昭和31)年9月に施行された制度により、認定された都市のこと。これは地方自治法に基づく新たな都市制度で、地方分権の推進を掲げ、その上で合理的で効率の良い都市の行政運営と、そこに居住する住民の福…
「夏も近づく八十八夜」で始まるのは、お馴染みの唱歌・茶摘み。八十八夜とは、春分から数えて八十八日目のことで、毎年5月1日か2日がそれに当たる。この日に摘まれた茶葉は上質な新茶となり、これを飲むと患うことが無いと言われてい…
文様とは、一体どこから生まれたものか。それは言うまでも無く、人間が生活の中から感じ取ったものを様式化したのであり、外来文様であろうと日本固有の文様であろうと、変わることは無い。外来文様は、通過する国・地域のエッセンスを包…
4月は、季節が混在する月。コートを手放せないほど寒い日があると思えば、半袖でなければ歩けないほど暑い日もある。朝夕と昼の寒暖差が20℃近くになる日も珍しくなく、街行く人の服装にも、冬と春と夏が入り混じっている。毎日、何を…
2022年は、後々の日本において、大きな分水嶺となってしまうかもしれない。それは、国の根幹を為す安全保障の分野において、憲法の平和主義に依拠する専守防衛から離脱する可能性があるからだ。 この議論の高まりは、当然ロシアのウ…
総務省統計局によって、1950(昭和25)年から開始された戦後の家計調査。この目的は、国民の家計収支の実態を把握することによって、国の社会経済政策を立案するための資料とすることである。家計収支は、月ごと、四半期ごと、年ご…
ブログを書き始めて、8年10か月。今日のこの稿が、634回目になる。日付の履歴を見ると、最初の年・2013年には、月平均で13回も投稿している。ほぼ2日に1回のペースで、よくこれだけ速く記事を起こせたものだと、我ながら感…
経済は右肩上がりに推移し、世の中は平穏、多くの国民は繁栄を享受して、思うままに消費に走る。今から50年ほど前に迎えた高度経済成長期は、同じような空気が充満していた江戸の一時期に擬えて、「昭和元禄」と呼ばれていた。 昭和も…