「龍村さんの帯地の中には、それらの芸術品の特色を巧に捉へ得たが為に、織物本来の特色がより豊富な調和を得た、殆ど甚深微妙とも形容したい、恐るべき芸術的完成があった。私は何よりもこの芸術的完成の為に頭を下げざるを得なかったの…
江戸時代の武士の中に、旗本という階級があった。この身分に就いている者のほとんどは、徳川家直属の家臣団である。彼らは、将軍がお出ましになる儀式に参列し、直接拝褐出来る「御目見(おめみえ)」の資格を持ち、知行地という領地も与…
世の夫婦は、性格やモノの考え方が似通う「似た者夫婦」と、どうして一緒になったのか理解に苦しむような「異質な夫婦」とに、分かれるような気がする。 似た者同士ならば、共感し合えることが多いので、穏やかな暮らしを送ることが出来…
今年のクリスマスは、曜日の並びが良く、三連休。年末を彩るイベントが週末と重なり、街はなお、賑わいでいることだろう。 特にクリスマス・イブは、世のカップルにとって、特別な夜かと思われるのだが、最近はそうでもないらしい。我々…
今、二十歳の娘を持つ母親の年齢を五十歳前後とすると、自分が成人式を迎えたのは、1986(昭和61)年頃。この時代は、バブル経済が膨張する直前であり、多くの人が株や不動産などに投資して資産を増やそうとする、いわゆる「財テク…
ごく稀に、衝動的に仕入れてしまう品物がある。モノを見た瞬間に、引き込まれてしまい、どうしても欲しくなる。まさに、「一目惚れ」である。 店に置くモノを選ぶというのは、仕事の根幹であり、経営に直結する。本来ならば、様々なこと…
スパイ大作戦を見ていたのは、確か中学生の頃だと思う。テレビ放映されていた期間を調べてみると、1967(昭和42)年~1973(昭和48)年の7年間。 アメリカの秘密諜報機関から指令を受けて、任務を遂行するスパイのお話で、…
「袖触れ合うも、多生の縁」という言葉の意味は、ほんのささやかな出会いでも、それは前世からの約束として、決められている縁(えにし)であること。「多生」とは、仏教の教義に基づく語で、命あるモノは必ず死を迎え、何度生まれ変わる…
多くの人は、50歳も半ばを過ぎてくると、定年を意識する。組織に属していれば、第二の人生をどのように過ごすか、否応無く思いを巡らせることになる。自分の趣味に生きようとする人、まだ働く意欲があるので、「第二の職場」を探す人、…
キモノや帯を、状態良く、長く使うためには、着用後のメンテナンスをきちんすることが大切である。これは改めて話すまでもなく、どなたでも、理解されていることと思う。だが一通り手入れを済ませて、箪笥の中に入れてしまうと、定期的に…