全国各地で、例年より一週間ほど早く咲き始めた桜。東京では今がまさに満開で、本来ならこの週末は、絶好の花見日和になるはずだった。けれども、今だに収束しないコロナ感染は、そんな人々のささやかな春の愉しみをも奪ってしまった。 …
「和の装いとして、最も贅沢なことは」と問われれば、それは、職人が手を尽くした高価な品物をまとうことではなく、着用する場面ごとに、品物を沢山用意することでもない。それぞれの季節に相応しい姿を、キモノや帯、そして小物も含めた…
昨年秋に誕生した菅内閣は、社会活動全般のデジタル化推進を、政策の目玉に掲げた。この一環として始まった動きが、行政手続きにおける押印、つまりハンコの廃止である。政策を担当する河野太郎行政改革相は、手続きの99%で、印鑑を不…
平安時代の貴族女性の正装・女房装束が、何枚も衣装を重ねて着装する「十二単(じゅうにひとえ)であることは、皆様ご承知の通り。一番上には唐衣(からきぬ)と裳(も)、次に表着(うわぎ)、打衣(うちぎ)、さらに五衣(いつつころも…
学問の神様・菅原道真公が、雷様の成り変わりであることをご存じだろうか。道真公を祀っている社を天神社と呼ぶが、「天神」とは「雷神」を意味し、この神を畏怖して祈願の対象とすることを「天神信仰」と言う。 では何故、道真公は雷神…
今から1700年前の中国・魏の国には、社会から隔絶した場所に実を置きながら、哲学的思想・清談に明け暮れる知識人の存在があった。これが「竹林の七賢人」と呼ばれた人たちで、清談とは、現実から逃避して自由に物事を論じることであ…
「クリスマスを前に多くの人と接触することで、祖父母と過ごす最後のクリスマスになってはなりません。」 これは今月9日、ドイツ議会で演説をしたメルケル首相の言葉である。この日ドイツでは、新型コロナウイルス感染による死者が、こ…
7日は、二十四節気の一つ・大雪だった。暦の上では、雪が沢山降り積もる頃とされているが、今年はまだ少ない。豪雪地として知られる北海道・幌加内や朱鞠内で70cm、青森・酸ヶ湯でも50cm程度である。昨シーズンは、日本中どこで…
全国の気象台や観測所では、様々な植物や動物の変化を観測し、それぞれの場所で年ごとに、季節のうつろいを記録し続けてきた。これが「生物季節観測」で、今から半世紀以上も前の、1953(昭和28)年から始まっている。これまでに記…
西暦だと今年は、2020年。日本の元号・和暦で言えば、令和2年である。年号は現在、この二つにほぼ集約されるが、今から75年前の戦前までは、年の数え方がもう一つあった。それが「皇紀」である。 1872(明治5)年、明治政府…