ここ数年、市街地に様々な動物が出没するようになった。猪や鹿、猿が道路を我が物顔で歩く姿も、よく報道される。人を恐れなくなったのか、それとも山に餌が減ったのか、原因は幾つも考えられる。長い間、人間と獣はそれぞれ生活のテリト…
弱きを助け、悪を挫く。時代劇は、毎回設定は変われども筋書きは同じで、お約束の結末だが、中高年を中心として根強い人気を持つ。これは、「勧善懲悪」を好む日本人の気質に合っているからとも、言えよう。 代官と役人の悪事を、正義の…
物事には、基準となる様式がある。特に芸術においては、手順や形式を踏まえた上で、その中に、自分だけのオリジナルな感性を表現していく。 一つの様式が生まれる背景には、時代や地域的な環境など、様々な理由が考えられ、その表現方法…
暑さが続くと、食欲が落ちる。特に外回りをした後の昼飯は、米を食べる気がしない。そんな時には、冷たい麺類が一番だ。ざるそばやソーメン、冷やし中華ならば、のどごしも良くスルスルと食べられる。 最近では、コンビニ各店が味を競い…
ご存知の通り、甲府は周囲をぐるりと山々に囲まれた盆地である。北は秩父山塊、東は大菩薩嶺、南は富士山と御坂山地、そして西は北岳を頂点とする南アルプスと八ヶ岳。もちろんバイク呉服屋も、物心ついた時から山は身近な存在。世界遺産…
「あの戦争で犠牲になった、二十万余の御霊に対しても、私たちは、平和で文化的な沖縄を築く責任を持っている。それは不可能ではない。沖縄県民には、それが出来る」。これは、琉球政府最後の主席であり、戦後初の沖縄県知事として、沖縄…
このところの寒波の到来で、すっかり正月気分が抜けてしまった。雪に慣れているはずの日本海側の地方でも、ここ数日のドカ雪は、人々の生活に深刻な影響を与えている。昨夜などは、新潟で列車が立ち往生して、数百人の乗客が一昼夜、車内…
船で海を越えなければ辿り着けない場所には、独特の旅情を感じる。デッキで海風に体を委ねながら、まだ見ぬ土地に思いを馳せると、改めて遠く旅に出ていることを実感する。そんな感傷に浸れるのも、船旅ならではである。 つい30年前ま…
現在我々が目にするキモノや帯の文様には、奇をてらうものはほとんど見られない。どれもが、我々の祖先・先人達が生きた時代の中で、それぞれ生まれてきたものである。一つ一つの文様には、その時々の歴史的な背景や裏付けが、明らかに存…
昔の夜汽車には、独特の風情があった。4人掛けの狭い座席で一夜を過ごし、浅い眠りから目覚ると、窓の外には、朝靄に煙る素朴な風景が広がっている。遠くへ旅に出ていることを、強く感じさせてくれたものだ。 今と違って、電気化されて…