相続の手続きとは、何と厄介なものか。母親が遺した財産など、たかが知れているというのに、本人や相続人の戸籍謄本や印鑑証明、銀行の証明等々、様々な書類を準備しなければならない。 父や妹は、最初から手続きを面倒がっていたので、…
新聞記者にとって、記事を書く上で最も重要なのが、「裏を取る」ことだ。これは、報道する内容が真実か否か、証言者から確固とした言質を取ったり、証拠となるものを確認することを意味する。裏付けが無ければ、安易に情報を流さない。こ…
今月、本田・スーパーカブの生産累計が、一億台を越えたそうだ。これは、ヘビーユーザーのバイク呉服屋にとって、何とも嬉しくなるニュースだ。カブが生まれたのは、今から59年前の1958(昭和33)年。私が生まれる前年である。現…
朝、自宅の玄関を開けると、芳しい薫りが鼻をくすぐる。庭の金木犀の花が咲き始めたと、すぐわかる。年によって多少差はあるが、10月の第一週には、小さな橙色の花を付け始める。風に乗って漂う甘い香りは、毎年秋の深まりを感じさせて…
少し前まで、中元や歳暮に使う贈答品は、老舗デパートから送ることが多かった。それは、たとえ同じ品物でも、格の高いデパートの包装紙に包まれていると、相手の受け取り方が違う、という意識があったからだ。 送る側は、大切な取引先や…
このブログを訪ねて来られる方は、どんな方々なのだろうと、いつも想像しています。多くは女性なのでしょうが、中には、和の世界に関心を持つ男性諸氏も、少なからずおられるように思います。 年代は、店を訪ねて来られる方や、時折メー…
代を繋いで暖簾を下げる呉服屋の棚には、今となっては、商いの道具にはなり難い品物が残っていることが、よくある。それは、店に置いた時から、すでに10年以上が経過しているもの。私は三代目だが、さすがに祖父が扱ったものはもう無い…
建築物の配置や装飾品の図案では、色や形状が中心軸を境に左右とも、同形で均等に配置されていることが多い。この相称性のことを、シンメトリーと呼ぶ。人の心理として、左右にズレや歪みがなく、均等であるものに対しては、自然と美しさ…
今、中学や高校で規則の無い学校など、ほとんど無いだろう。制服に始まり、鞄、靴、靴下に至るまでの服装、そして頭髪など身だしなみに関わることまで、それこそ学校で生活を送ること全てにおいて、細かく規定されている。 学校に所属す…
現在我々が目にするキモノや帯の文様には、奇をてらうものはほとんど見られない。どれもが、我々の祖先・先人達が生きた時代の中で、それぞれ生まれてきたものである。一つ一つの文様には、その時々の歴史的な背景や裏付けが、明らかに存…