「神の存在や宗教の教えより、教会という場の方がはるかに、意味深い救いを人に与える場合がある。」 これは先日、朝日新聞の朝刊コラム・折々のことばで紹介されていた写真家・志賀理江子の言葉の一節だが、選者である哲学者の鷲田清一…
我が家は、夫婦二人きりの生活となって久しいが、夕餉のかたずけを共同で行うことが、暗黙のルールになっている。私が食卓を片付け、家内が洗う。私には、使った食器を洗い、そのまま乾燥機に入れるという作業が、どうしてもスムーズに出…
皆様は家でくつろいでいる時、どんな格好をしているだろうか。一緒にいるのは妻や子どもなのだから、特段気を遣う必要は何もない。それでも親しき仲の礼儀として、見ていて「目を背けるような姿」は厳に慎むべきであろう。だから夏とはい…
「念ずれば、通ず」とは、何かを成し遂げようとする時、己の気持ちが強ければ強いほど、思いは天に届いて願いが叶うという、古来から言い伝えられてきた成語だが、心で願ってはいても、なかなか物事は上手く運ばないのが、人生というもの…
老舗(しにせ)とは、どのような店のことを指すのか。辞書で調べて見ると、広辞苑(岩波書店)には、「先祖代々の業を守り継ぎ、続けて繁盛している店」とあり、大辞林(三省堂)には、「代々同じ商売を続けている、由緒正しい古い店」と…
夏のスタミナ食といえば、何を差し置いても鰻。ビタミン類や鉄分、亜鉛など、夏バテを解消する栄養素を豊富に含む。鰻屋の軒先からは、たれを浸けて焼く香ばしい匂いが漂ってくるが、この脳天を突き刺すような食欲をそそる香りには、思わ…
一般的に、彫刻刀という道具を使う機会は、あまり無い。記憶にあるのは、小学校の図工の時間で、版画を作る時に使ったくらい。子どもが使うものなので、種類は、刃先が丸い丸刀、平らな平刀、三角の三角刀、尖っている切り出し刀などに、…
重要無形文化財保持者・いわゆる人間国宝の認定が始まったのは、戦後10年が経った1955(昭和30)年のこと。これまでに371名が認定を受けたが、我々呉服屋と縁が深い染織関係では49名の人間国宝が生まれ、このうち現存者は1…
今年はすでに、九州から東海にかけて梅雨に入っている。平年に比べると、三週間も早い。関東甲信地方も、このところ雨の日が続いて、「梅雨の走り」を思わせる。二十四節気の「小満(しょうまん)」にあたる今は、陽光に満ちて、万物が成…
現在東京では、三回目の緊急事態が宣言されている。一応、今月末までの予定だが、解除されるか否かは不透明な情勢。東京以外に、大阪や福岡、京都、北海道など9道府県で発令されているが、やはり感染は、人口が密集している都市に集中し…