平成も、残すところあと二日。10日間という、これまでにない長い連休の間に、時代は変わり目を迎える。そんな中で、一般の人々は、改元よりもむしろ、与えられた休暇をどのように過ごすかということに、目が向いているようにも思える。…
店を開けている間には、様々な電話が掛かってくるが、商品の営業や勧誘の電話ほど迷惑なものはない。相手は決まって、「お忙しいところ、恐れ入りますが」と話し出す。忙しいとわかっているのなら、掛けて来ないで欲しいが、先方もそれが…
当たり前のことだが、呉服屋が扱う品物のほとんどは、お客様の寸法通りに誂えなければ、納品することは出来ない。今の時代、反物だけを買って、自分で仕立てをするという方は皆無なので、着用出来る形に仕上げるまでが、呉服屋の仕事とな…
旧暦では、その年を甲(きのえ)から癸(みずのと)までの十干と、子(ネズミ)から亥(イノシシ)までの十二支を、組み合わせて表す。近頃は、干支=十二支であるかのように認識され、十干はほとんど注目されていないが、本来この二つを…
四月一日、次の新しい元号が「令和(れいわ)」と決まった。645年、孝徳天皇の下で始まった大化から数えると、これが248回目の改元である。 これまでの元号名は、中国の書物(漢籍)を典拠としてきたが、令和は初めて日本の書物(…
不思議なもので、毎年お彼岸を過ぎると、急に暖かくなる。私のように、毎日バイクに乗っていると、微妙な季節の変化を肌で感じ取れる。今年は、走っていて、思わず固まってしまうほどの寒い日は少なく、体も楽だった。その証拠に、いつも…
残念なことに、私には跡継ぎがいない。けれども、もし誰か呉服屋を志す者がいるとすれば、何から教えるべきか。それはおそらく、品物の売り方や仕入れ方ではなく、直し方からかと思う。 駆け出しの者が最初に覚えることと言えば、まずは…
先週の火曜日、先月限りで商いを終えた菱一で、最後の「売立」が行われた。これは、今回終業するに当たり、手持ちの品物を売り捌くためのもので、これまで取り引きのあった小売店が、菱一から品物を仕入れる最後の機会であった。 この日…
宿題は、幾つになっても嫌なものだ。小中学生の時には遊ぶことに夢中で、ついぞ忘れてしまうことが多かったが、朝になって慌ててやっても、何とか間に合った。それが高校生になると、やろうと頑張っても出来なくなる。数学や物理、化学な…
このブログの一番下には、私が心掛けている「自分の商いのスタンス」が書いてある。だがそれは、別に大仰なことではなく、「お客様に良質な品物を求めて頂き、長く使って頂けるように努力する」という、呉服屋としては極めて単純で、普通…