このところ、ブログ読者の方が店にやってくることが多い。それも連絡なしに、突然である。先週の土曜日にも、都内在住の30代の女性が一人でやって来られた。定休日以外にも、用事があれば店を閉めて出かけてしまうので、折角いらしてく…
長年携わってきた自分の仕事を、国が認めて、その功績を褒めて貰うということは、やはり嬉しく誇らしいことなのだろう。特に国会議員や企業経営者などはその傾向が強く、貰えるものなら、少しでも格の高い勲章が欲しいらしい。こうした承…
中庸(ちゅうよう)とは、儒教の中核を担う概念の一つで、考え方に偏りがなく、調和がとれていることを意味する。人物的に考えれば、対立する双方の意見の間に立ち、どちらの立場も尊重し、互いを納得させることが出来る、中立公正な人に…
毎年8月末になると必ず行うのが、棚卸。これは店の棚に並ぶ品物が、きちんと帳簿に掲載されている通り実在するか、それを確認する作業。これにより在庫の総額が判り、決算時に算出する損益計算では欠かせない資料となる。バイク呉服屋の…
ひと昔前までは、お盆が終わると朝夕は涼風立って、少しは凌ぎやすくなったもの。けれども、ここ数年はまったくそんな気配がなく、暦の上の立秋などどこ吹く風。甲府では今夏、過去最高を更新した昨年の猛暑日数・43日をすでに上回って…
棘を持つ美しい花と言えば、真っ先に挙げられるのはバラとアザミだろう。この二つはどちらも鮮やかで上品な花を咲かせるが、持つイメージは対照的。バラの多くが観賞用として栽培されているのに対し、アザミは路傍で自由に咲いている野花…
江戸初期の寛永年間(1624~44)頃までは、一般庶民や農民のキモノには、麻や苧(からむし)の粗末な素材が使われ、これに細紐や縄を帯代わりにして結んでいた。当時は、木の皮から繊維を取って糸を紡ぎ、それを草木染料で染める。…
会話の中で「なんちゃって・・・」と使うのは、その内容が本当ではないことを、冗談めかして相手に伝える時。この語句の背後には、嘘とか偽とかを誤魔化して茶化す姿が見え隠れする。こうして文章にしてみると、あまり程度のよろしくない…
常々思っていることだが、呉服屋というのは様々な意味で、出来るだけ間口を狭めて商いをすることが、一番良い気がする。人を雇い入れることなく、主人だけ、あるいは妻と二人だけで、ひっそりと静かに店を構える。扱う品物もアイテムを絞…
一年の内で、呉服屋の仕事が一番暇なのは夏というのが、従来からの習わしであった。この季節は、成人式や七五三のような通過儀礼が無く、また入学式や卒業式のような節目の行事も無い。そして婚礼は暑い夏を避けて、気候の良い春や秋に行…