年に何度か、箪笥整理を頼まれることがある。それも、亡くなった方の品物であることが多い。その家のおばあちゃんが大切に使い、保管しておいたモノである。 依頼する人は、ほとんどの場合「お嫁さん」か「娘さん」。一昔前であれば、故…
奈良の寺は「修学旅行の定番」である。東大寺(正倉院)・法隆寺・薬師寺・唐招提寺などは、誰もが一度は訪れる。 中学や高校で、事前に「歴史の下調べ」をして、旅行に備えるのだが、実際のところ生徒にはほとんど記憶に残らない。奈良…
キモノや帯のほとんどは、寸法直しや補正により再生できることを、このブログでも何回か具体的に例をあげてとりあげてきた。 だが、現代ではほとんど使わなくなってしまったモノもある。それをどのように生かすか考えなければならないの…
私たちの世代では、「一万円札」といえば「聖徳太子」を思い浮かべる。現行紙幣では「学問のススメ」の慶応大学創設者「福沢諭吉」であるが、日本史上におけるその人物の大きさを考えれば、その差は歴然であろう。 それは、「一万円」の…
寸法やしみぬき、補正などの「直し」の仕事だけは、年々増えている。お預かりする品の中には、当然他店で買われた品も多く含まれている。預かる際のお客様との会話の中で、買った時の値段のことを教えてもらうことがよくあるが、その購買…
「人の手」による仕事は、やはりどこかに「温かみ」を残すように思える。以前「加賀友禅を見分ける」の稿の時にも書いたが、それは「かすかなズレ」や「色の滲みやかすれ」など、「自然な形」で残る「仕事の跡」であり、ある意味で「不均…
当店では、「展示会」というものをしない。催し物と言えるかどうかはわからないが、年二回のバーゲンセールを4月と11月に3,4日ほどするだけである。 「そのためにすること」、と言えばとりあえず顧客の皆様に案内の葉書を送るくら…
近年、「小紋」の存在感は薄い。その位置づけは「カジュアル」=「普段着」というのが一般的であるが、街着を選ぶ方は「紬などの織物」を好む方のほうが多く、小紋に目を向けることが少ない。紬は産地ごとに特徴があり、「着心地」も多様…
キモノというものには、それを着用する時の基本的な「ルール」というものが存在する。常識として知られているのは、例えば「織のキモノ=紬類」はいかに高価なものでもフォーマルには使えない。「式服」の場合など、当然着るアイテムが決…
「文様」の再現と言う点からみると、「龍村」の果たしている役割は大きい。特に「上代裂」という「正倉院・東大寺」や「法隆寺」に伝わる数々の「裂」の「うつし」は龍村の品を通してほとんど理解することができる。この「上代裂」は多く…