古いモノを修復するということは、新しいモノを作り上げることよりよほど大変である。素材はもちろん、そこに施されている技を忠実に再現して、元の姿に戻し、なお維持し続けなければならない。 昨年秋、奈良・薬師寺東塔で行われている…
初対面の時、相当怪しかったらしい。風貌奇怪にして、年齢不詳。何を生業にしている人物なのか、想像も付かない。今まで、出会ったこともないような人。どちらかと言えば、あまり関わりを持ちたくない類。 沢山の偶然の重なりの末、ある…
バイクの終焉は、あっけなく訪れた。先月25日の朝、お客様の所へ直し依頼の品物を預かりに行く途中、走行しながら「ふ~っ」と止まってしまったのだ。その後、キックスターター(足でエンジンをかけるところ)を何度踏みしめても、一向…
零下45度という猛烈な寒波が襲来中らしい。北極から直接日本列島へ寒気が流れ込むために、日本中が冷凍庫の中に入っているような状態である。暖かい東京でも朝の気温が氷点下2℃以下となり、ニュースになっている。 日本海側では雪が…
先週の金曜日、公職選挙法改正に関する法案を今の国会に提出することが、与野党6党で合意された。これは、選挙権を18歳以上に引き下げること、いわば参政権を下げることを目途にしている。 成立することは確実で、次の参議院選挙(来…
普通、節分豆まきでは、鬼は外・福は内である。冬から春へと変わる季節の節目(季節を分ける=節分)には、鬼が住んでいるとされ、その邪気を祓うための年中行事である。 家族で豆まきをする時など、鬼のお面を被った父親に向かい、豆を…
嗚呼 京の織り子は、つづれ破れた「木綿」を着て、誰が着るのか判りもしない「綾絹」を、せっせと織っているよ。 1925(大正14)年、細井和喜蔵によって著された「女工哀史」の一節。紡績工場で働く女性労働者の生活を、克明に描…
結婚式は、人生最大の節目ともいうべき儀礼だ。式を執り行う意味は、敬虔な気持ちを持って誓いを立てることにより、改めて夫婦として生きる意味を確認するようなものであろう。 では、誰に向かって誓うのか、日本古来の神々ならば、神式…
街を歩くと、真っ赤なセーターや濃ピンクのショールをお洒落に着こなす年配の方をよく見かける。着姿に違和感はなく、むしろその若々しい姿に好感を持つことが多い。 年齢に相応しい色というものが、変わってきている。洋服や小物の色ほ…
『幸せ運べるように』という歌をご存知だろうか。神戸の小学校教諭だった臼井真さんが作った、阪神淡路大震災復興の歌である。「地震にも負けない、強い心を持って」というフレーズで始まるこの歌を聞くと、いつも少しだけ涙腺が緩む気が…