「キモノというものは、本当に怖いものですね。」以前、ある「ホテルマン」から、しみじみ言われた言葉である。なぜ彼が、「キモノは怖い」と思うようになったのか。それには訳がある。少しお話してみよう。 勤めているホテルでの出来事…
「老眼鏡」を使うようになってもう5,6年になる。50歳になる少し前から、新聞や本の文字が見えにくくなり、事務処理はもちろんのこと、呉服屋には欠かすことの出来ない「針に糸を通す」ということが、裸眼では難しくなった。 若い頃…
「よりを戻す」という言葉の意味は、仲たがいしていた者が仲直りして、元に戻ること。一般的には、「夫婦のよりを戻す」などと使われる。では、「より」とは何のことかご存知だろうか。 「より」=「撚り」である。この「撚り」は糸を撚…
ここ数日の報道で、ネットバンク利用の危険性が指摘されている。振込みなどが、家に居ながらにして出来るので大変便利なのだが、突然「銀行口座」から自分の預金が消えるような例が後をたたないらしい。 銀行と預金者を繋ぐ「パスワード…
「しみも抜けず、補正も出来ない」ような品物があることを、先日お話させて頂いた。では、この「直せない」品は、もう使えないと諦めるしかないか、というと、そうでもないのだ。 「しみや汚れが取れない」というのは、「根本的に直せな…
「直し」の仕事を受けても、全てが上手くいくということはない。特に、「しみ」や「変色、ヤケ」などの依頼では、品物を預かった時点で、「かなり難しいのでは」と思えるモノも多い。 ただ、その場の自己判断だけで、お断りすることはま…
今日、仕立職人の保坂さんと話をしているうちに、気が付いたことがある。先日このブログで、衰退した「嫁入り道具」の話をさせてもらったが、「現在では、不要になった品」の「代表的」なものを書き落としていたことだ。 その道具は「ミ…
ここ何日かは、成人式で使った振袖一式の手入れの依頼が多い。ほとんどはうちのお客様なので、その品物がどのようなものかは、わかっている。 幸い、好天に恵まれ、心配するような汚れのある品物はほとんどない。せいぜい「衿の化粧汚れ…
「キモノを使い回す」ということを、呉服屋としていつも頭の中に置いておかなければならない。親から子、孫へ、と寸法などを変えて使われるのは当然である。 また、アイテムを変えてどのように使えるかを考える。例えば、キモノを羽織や…
どんな職人さんたちにも「組合」というものがある。「紋章職人」の西さんが所属しているのは、「紋章上絵保存会」。「補正職人」の塗矢さんは「東京都染色補正しみぬき組合」。「洗張り職人」の「太田屋・加藤くん」は「東京きもの染洗協…