大概のスーツの襟下には、小さな穴が開いている。その名前は、「ラペルホール」または「フラワーホール」。もともとジャケットは、学生服の詰襟のように、襟を立てて着用していたもので、この穴は第一ボタンを止める時に使われていた。 …
蛾の幼虫の一つ、尺取り虫の足は、体の端にしか付いていない。だから、体をU字型に曲げ伸ばさないと、前には進めない。「尺取」という名前は、この虫の歩く姿が、一定の間隔を繋ぎながら、寸法を測っているように見えるからである。 &…
女性は、いつの時代から化粧を始めたのか。赤い顔料で色どられた女性の埴輪などが出土していることから、5~6世紀の古墳時代には、すでに身づくろいがされていたと考えられる。 日本女性の化粧姿を、はっきりと確認させてくれるのは、…
もう10年も経てば、かなりの職種が消えていくそうだ。ITに社会が席巻されていることと相まって、急速な機械の進化、さらにロボット化が、人間から仕事を奪う。 インターネットは、新聞や郵便の役目を完全に奪い、機械の進化は、スー…
悉皆・誂・衽・乳・躾糸・緯糸・撚糸・綴・杼・綸子・緞子 この語句は、いずれも呉服屋の仕事に関わるものばかりだが、皆様は幾つ読むことが出来るだろうか。 一般の方にとって呉服は、ただでさえ馴染みの無いモノなのに、呉服屋が使う…
高級な鮨屋や和食・割烹の店などでは、店内のお品書きの中に、「時価」というあいまいな値段が付けられているものがある。 大概が、入手し難いもの、あるいは季節により仕入れ価格が変動するようなものであろう。今の季節であれば、さし…
先日、このブログを読んでいる方から、直接電話を頂いた。お話は、直したいキモノや帯が沢山あるのだが、請け負ってくれないかとのこと。一枚直すのに、どのくらい代金がかかるかと聞かれたので、標準的な価格をお話したが、品物それぞれ…
この「バイク呉服屋の忙しい日々」ブログの設計とデザインは、東京・西新宿(以前は水道橋・本郷にあった)の「ひでじま」という会社に依頼して製作して頂いた。HP製作を外注に出すことはよくあるが、ブログだけというのは、めずらしい…
古いモノを修復するということは、新しいモノを作り上げることよりよほど大変である。素材はもちろん、そこに施されている技を忠実に再現して、元の姿に戻し、なお維持し続けなければならない。 昨年秋、奈良・薬師寺東塔で行われている…
普通、節分豆まきでは、鬼は外・福は内である。冬から春へと変わる季節の節目(季節を分ける=節分)には、鬼が住んでいるとされ、その邪気を祓うための年中行事である。 家族で豆まきをする時など、鬼のお面を被った父親に向かい、豆を…