大概、人は自分の眼に映るものを、ひと色で表現する。太陽は赤、海や空は青、松は緑で、桜はピンク。もちろん間違いではないが、これは極めて雑駁な色の切り取り方であろう。 毎日、山の端や海の彼方から昇り、沈んでゆく太陽。その時、…
日本橋・人形町界隈は、呉服問屋の集まる街だが、その一角に大手進学塾のビルがある。眺めていると、夕方4時を過ぎた頃から、次々に小学生がやってくる。街角には塾の関係者が立ち、子どもたちを安全に誘導している。そして土曜日の昼な…
今年を表す漢字一文字が、「令」と決まった。5月には、平成から令和へと元号が移り、新しい時代の幕が開いた。万葉集・巻5梅花の歌32首の序文を出典とするこの元号について、安倍首相は、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生ま…
一昨日、京都日帰り出張を敢行した。呉服を扱う問屋やメーカーでは、月初めに売り出しや新作発表会を行うが、師走には、一年を締めくくる「歳の市」と銘打って、バーゲンを行うところも多い。 今回の仕入れ目的は、紫紘の帯。この老舗帯…
このところ、すっかり日が短くなった。3時半を過ぎると、もう太陽が西へ傾き出すので、仕事をしていても、何となく急き立てられている気分になる。冬至まではあと40日もあるので、まだまだ日暮れは早くなる。 けれども、短い日を惜し…
呉服屋として長い間品物を見ていると、地色や挿し色に表現される微妙な色合い、図案のバランス、そして構図の取り方などが理解出来てきて、自然と「モノの見方」が磨かれてくる。 品物にとって「作り方」も重要だが、いくら手を尽くした…
今年の秋は、忙しい。もしかすると、ここ数年で一番かもしれない。毎年秋には、一週間ほど休みを取って、北海道を歩くことにしているが、今年はまだ実現していない。 こう書くと、バイク呉服屋は、次から次へと品物を捌いて、儲かってい…
国立社会保障・人口問題研究所では、5年ごとに夫婦の結婚過程を調査している。直近の2015(平成27)年の調査によると、初婚夫婦の平均出会い年齢は、夫が26.3歳、妻が24.8歳。平均交際期間は4.3年で、結婚年齢は、男子…
毎年、その芳しい香りは突然やってくる。朝、玄関のドアを開けると、甘く優しい花の匂いが漂い、鼻腔をくすぐる。香りを放つ花は、金木犀。言わずと知れた、秋を告げる香木だ。 金木犀は、柊やオリーブと同じモクセイ科の常緑樹だが、同…
17日の夕方現在で、68河川・125ヶ所で堤防が決壊、そして越水して氾濫した河川はのべ250以上にも上る。その範囲は、関東から長野、東北までの1都7県に及ぶが、これだけ多くの河川が同時に氾濫したことは、今まで記憶に無い。…