今年はお盆の曜日の並びが良く、前後の土日とあわせて9連休という方も多いだろう。例年通り交通機関は混雑し、各地の観光地では賑わいが続いている。今週はバイク呉服屋も休みを頂いているが、家内は新盆で実家へ行き、三人の娘たちも仕事の予定が入っているので、甲府へは誰も帰ってこない。一人残った私は、迎え盆の日・13日になってようやく墓掃除に行く始末。さぞかし眠っている祖父母や父母は、私の不義理を嘆いていることだろう。
ひと昔前までは、次の世代が実家の墓を引き継ぐという意識が、明確にあったはずだが、最近はそうでもないらしい。実際うちのように、子どもの生活拠点が他県に移り、故郷には帰ってこない場合は、どうしても、誰が墓を継承して管理するかという問題に行き着く。また私の方ばかりでなく、家内の方にも守るお墓があるので、こちらもどうするのか考える必要がある。「家を守る」という意識が年々希薄になる中、我が家にとっても、墓の継承はかなり切実な問題である。
その上昨今では、若い世代を中心に、お盆に故郷へ帰らない人も増えているらしい。お盆は墓参りをするとともに、家族で過ごす時間や昔の友人と会うことが大きな楽しみであり、それがいわば「習わし」にもなっていた。けれどもライフスタイルの変化や、故郷に対する考え方の変化に伴い、帰省が当たり前ではなくなったのだ。
そして家族が同じ時間を過ごすのは、何もお盆に限らなくても良いとの考え方もある。うちでも、年に一度はどこかに集まってみんなで会う時間を作っているが、それはお盆でも正月でもなく、各々が都合を合わせやすい日である。それで家族の関係性は、実家へ集まらずとも十分保てる。まして普段から家族各々のことは、ライン等で情報共有されていることから、どうしても皆が盆暮れに揃う必要が無くなってきている。
もちろん今の子どもたちにも、家族の絆を大切にする思いはあるが、それが時代と共に多様な形式へと変化している。それを我々親世代が、伝統的な家族観やしきたりに捉われず柔軟に考えていくことが、これからは重要になるのだろう。
さてさて墓の行く末を考えるような、爺くさい夏休みになっているが、今日のブログは「休み中の手抜き稿」として、これまでここでご紹介してきた品物を、オムニバス的に再びご覧頂こうと思う。今回取り上げるアイテムは、小紋。さすがに12年も書いているので、取り上げた数もかなりに昇る。品物を紹介した日付とタイトルも記しておくので、興味のある方は、そちらも読み直して頂ければ有難い。それでは始めよう。
(2017.3.29 3月のコーディネート パステル色小紋で、たおやかな春を)
2014年から今年までの間に、このブログ稿で取り上げている小紋を、年度別に日付けを追ってご紹介していく。なお画像と共に、品物の色目や柄と稿を記した年月日、及び仕入れ先を添え書きしておくので参考にされたい。また品物によっては、誂えた時の画像を共に掲載するので、より模様姿や使い道が判りやすいかと思う。
(2014年)
(桜色 縞小唐花模様 ぜんまい紬 総柄小紋・菱一 3.18)
(黄土色 変わり更紗模様 飛び柄小紋・菱一 羽織誂 4.13)
(2015年)
(一越青磁・桜地色 花兎角倉文様 飛び柄小紋・菱一 3.15)
(鬼しぼちりめん 黒地 四季花模様 大飛び柄・トキワ商事 羽織誂 4.5)
(薄水色 流水に蜻蛉 飛び絞り絽小紋・菱一 8.17)
(一越 銀鼠色地 葡萄の丸模様 飛び柄小紋・菱一 9.8)
(段暈し薬玉・花の丸・花散らし 祝着用四つ身小紋・菱一 11.15)
(駱駝色 小雪輪散らし・千切屋千兵衛 群青色 破れ雪輪・菱一 12.10)
(2016年)
(黒地 薬玉に枝垂れ桜 四つ身小紋 七歳祝着誂・菱一 2.7)
(鬼シボちりめん 染疋田 市松文様・千切屋千兵衛 キモノ誂 4.27)
(鬼ちりめん 紺地 紅型小紋・栗山工房 羽織誂 11.15)
(一越 藤鼠色 松葉・銀杏・楓・梅 吹き寄せ文様・菱一 12.4)
(2017年)
(一越 黒地 七宝繋ぎ模様 総柄小紋・千切屋地兵衛 1.24)
(スカイブルー地色 菊菱鱗文様 総柄小紋・松寿苑 3.29)
(若草色 波文様 蝋描染小紋・松寿苑 5.21)
(2018年)
(一越 サーモンピンク色 菊葉模様 飛び柄小紋・菱一 2.10)
(小菱地紋織 薄桜鼠色 小花菱取模様 飛び柄小紋・松寿苑 3.11)
(2019年)
(変わり生地 白鼠色 小唐花模様 総柄小紋・松寿苑 2.13)
(ベージュ色 立湧に橘・菱一 卵色 橘に小菊・千切屋治兵衛 5.8)
(生成色 更紗模様 型染蝋引き小紋 総柄・菱一 5.21)
(水色 千鳥流水模様 絽小紋 飛び柄・千切屋 7.22)
(薄青磁色 菱撫子模様 総柄小紋・トキワ商事 9.29)
(鴇色小花の丸 薄縹色花の丸・菱一 珊瑚色菊手鞠・千切屋治兵衛 10.18)
(サーモンピンク色 桜模様 オリジナル手描小紋 八千代掛誂・一文 11.23)
(薄桜色 桃模様 オリジナル手描小紋 八千代掛誂・一文 11.29)
(青磁色 市松暈し松葉菱模様 総柄小紋 羽織誂・松寿苑 12.4)
(黄土色 クローバー模様 飛び絞り総柄小紋 羽織誂・松寿苑 12.4)
(2020年)
(一越 桜鼠色 小桜散らし模様 墨染手描小紋・トキワ商事 3.20)
(一越 鼠色 葵模様 飛び柄小紋・菱一 6.2)
(一越 ベージュ地 黒枠菊花弁連ね 総柄小紋・トキワ商事 10.26)
(ちりめん 薄撫子色 菊花の丸模様 飛び柄 キモノ誂・トキワ商事 10.26)
(鬼シボちりめん 団栗色 大菊花模様 総柄小紋 羽織誂・菱一 12.10)
(一越 薄抹茶色 桐唐草模様 総柄小紋・菱一 12.10)
(2021年)
(変わり織 勿忘草色 車軸松葉模様 飛び柄小紋・一文 1.31)
(一越 サーモンピンク色 桜花散らし 手挿小紋・千切屋地兵衛 3.28)
(空色 染疋田青楓模様 飛び柄絽小紋・千切屋 7.26)
(一越 薄胡桃色 菊花模様 飛び柄小紋・菱一 9.26)
(鬼シボちりめん 黒地 大菊葉 飛び柄小紋 羽織誂・トキワ商事 11.3)
(鬼シボちりめん グレー地 葡萄模様 羽織誂 紅型小紋・栗山工房 11.3)
(2022年)
(一越 桜色 小花の丸模様 総刺繍小紋・一文 1.30)
(一越 黒地 幾何学丸文 飛び柄小紋 羽織誂・千切屋 2.13)
(一越 クリーム色 葉繋ぎ小花模様 総柄小紋・菱一 3.13)
(一越 生成色 つゆ芝にチューリップ模様 総柄小紋・トキワ商事 3.13)
(甕覗色 霰に水玉模様 三本絽小紋・トキワ商事 7.25)
(2023年)
(一越 クリーム色 小鳥模様 飛び柄小紋・最上 3.27)
(変わり地紋織 薄鼠色 雪輪雪華散らし 飛び柄 キモノ誂・松寿苑 9.26)
(菱井桁地紋織 若菜色 唐花模様 総柄 八千代掛誂・トキワ商事 10.16)
(一越 ティールグリーン色 唐草模様 総柄 キモノ誂・千切屋 11.12)
(変わり生地 鳩羽紫色 小楓葉散らし キモノ誂・千切屋地兵衛 11.12)
(紗綾型紋綸子 紅色 兎の丸模様 飛び柄 七歳祝着誂・一文 11.26)
(2024年)
(一越 鉄紺色 梅鉢模様 飛び柄小紋 羽織誂・千切屋 2.27)
(小立湧地紋織 青りんご色 更紗短冊模様 飛び柄小紋・トキワ商事 5.20)
(2025年)
(一越 薄胡桃色 七宝散らし 飛び柄小紋・千切屋 1.24)
(変わりちりめん 水色 ヘチマ模様 飛び柄小紋・千切屋地兵衛 5.26)
足掛け13年にわたり、このブログでご紹介した小紋・60点を一挙に振り返ってみた。こうして改めて画像をアップしてみると、小紋と言うアイテムの多様性が伺える。模様には大きいモノと小さいモノがあり、構図は飛び柄と総柄に分けられる。そして図案となるアイテムには、四季の植物から唐花、有職文、幾何学文と様々あり、その意匠の広がりは無限と言っても良いくらいだ。
さらに色や模様により、キモノや羽織、八千代掛けや七五三祝着と多様な品物に分けて誂えられ、生地の質によっては、袷、単衣モノ、あるいは薄物へと振り分けられる。小紋ほどバリエーショ長けた品物は無く、装う方が着姿で個性を発揮するには、またとないアイテムになっている。
こんな面白い小紋を扱うことこそ、専門店らしさの表れ。これからも、様々な品物をご紹介する機会を出来るだけ作っていきたい。なお今日ご覧頂いた小紋の多くは、当時の稿の中で帯コーディネートを行っているので、合わせてその記事をお読み頂ければ、より楽しんでもらえると思う。
休み中の手抜き稿の予定が、画像を検索して掲載することにかなり時間がかかり、いつも以上に労力を費やしてしまいました。ちなみにこのブログのために、これまで写した画像は実に77000枚。この中から探すのですから、本当に大変です。パソコン操作に対する知識が乏しい故に、こうした画像探しには苦労してしまうのです。
本来ならもう少し勉強すれば良いのですが、それを諦めてしまうところが、年齢なのでしょう。もともと学ぶことが嫌いなのですから、どうにもなりません。ようやくブログ稿が終わりましたが、この後は庭の草取りが待っています。この炎天下で大変と思われるかもしれませんが、こちらの作業は頭を使わないで出来るので、むしろ楽です。やはりバイク呉服屋は、頭で考えるより体を使う方が似合っています。皆様も酷暑の毎日、どうぞご自愛下さい。
今日も、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。